台湾はアジア太平洋地域、東北アジアと東南アジアの交通の要に位置し、優秀な設備の国際空港と海港を有し、交通運輸も便利で、輸出入や中継輸送がとても発達しています。台北から東京、ソウル、北京、上海、香港、シンガポール、等の西太平洋の主要都市への平均飛行時間はわずか2時間55分で、高雄港からマニラ、シンガポール、香港、上海、東京などの五大主要港への平均航行時間はおよそ53時間です。欧米、日本及びアジア太平洋の新興市場を繋ぐ重要なハブとなっており、グローバル企業がアジア太平洋地域で運営本部を設立する際の第一選択肢であると言えます。
台湾は西隣に世界経済成長の中心で世界第二位の経済大国である中国大陸が存在します。そして北には世界第三位の経済大国である日本、東には世界最大の経済大国であるアメリカ、南は東南アジア諸国連合に隣接しており、アジア地域の中でも経済戦略上極めて良いロケーションにあります。世界経済の中心は欧米からアジアへと移行するに伴い、市場の中心も成熟市場から新興市場へと移行し始めています。台湾は言語のみならず、地理及び文化的にも、中国市場と非常に近く、他者が取って代わることのできない優位性を備えています。その上、台湾のイノベーション能力、製造方面での実力及びアジア各地の産業に台湾企業・商人が存在するなどの優位性はグローバル企業を魅了しており、台湾を拠点に中国やアジア新興市場へ進出し、世界に繋がるプラットフォームとなっています。
台湾の投資環境は多くの国際評価において高く評価されています。世界経済フォーラム(The World Economic Forum、WEF)2019年の国際競争力レポート(The Global Competitiveness Report2018)によると、台湾は141ヶ国中12位にランクイン(昨年より1位上げて)、アジア・太平洋地域で4位にランクインしました。また、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(Economist Intelligence Unit) が発表した2014~2018年の世界ビジネス環境ランキングでは、台湾は世界14位となりました。そして、米ビジネス環境リスク評価会社(Business Environment Risk Intelligence、 BERI)が発表する2019年第2回の全世界投資環境リスク評価の報告で台湾は世界4位にランクインしました。また、世界銀行(World Bank)が発表する報告書「2020年ビジネス環境の現状」(Doing Business 2020)では、190ヶ国中、台湾のビジネスのしやすさは15位となっています。
台湾の産業クラスターの分布は、北部地区は電子テクノロジー産業が主であり、中部地区は精密機械産業で、南部地区は主に石油化学と重工業(重要産業の分布は巻末の添付図を参照)です。世界経済フォーラムの2019年度の国際競争力レポートでは、台湾の産業クラスター発展指数は世界第3位にランキングされました。非常に整った川上、川中、川下のサプライチエーンは、取引先の各種ニーズに迅速に対応し、ジャストインタイム(just in time)にカスタマイズなモジュールを提供します。台湾製品の質と量、共に競争力を備えており、正に外資企業にとって台湾に投資するメリットとなっています。産業クラスターの高度な発展によって、台湾は世界2位の情報ハードウエアー生産国となり、ウェハーファウンドリーとICパッケージング・テスティング産業の生産額でも世界1位にランクインしています。また、IC設計業は世界2位に、PC製品は世界3位にランクインしています。そして自転車産業は成功例の一つとしてあげられます。2003年、台湾の自転車産業の二大企業であるジャイアントとメリダは、台湾18社の部品メーカーを結集してA-Teamチームを結成しました。チーム間の密接な協力と分業を通して、レジャー用またはプロ仕様など、消費者それぞれのニーズに合う商品を研究開発し、国際的に高品質で高単価、そして高利益の自転車市場を作り出しています。
台湾は優秀な労働力を有しており、毎年およそ30万人の大学・専門学校以上の卒業生が労働市場に入ります。統計によると、2017年の労働人口の570万人(50.19%)が大学・専門学校以上の学歴を持っています。2019年の世界経済フォーラムの国際競争力レポートでは、台湾の生産效能及び労働市場の効率は141カ国中の第15位で、台湾の労働力が競争力を備えていることがわかります。また、現在、政府も持続的に世界トップレベルの大学と研究センターの設立に力を入れています。そしてグローバル企業がアジア太平洋市場に進出する際に必要な人材需要を十分満たすよう、台湾を東アジアの高等教育の要衝及び華語教育產業の輸出大国となるよう注力しています。
台湾の交通ネットワークは整備されており、海運と空運は非常に発達しています。現在7ヶ所の国際商港、17ヶ所の空港(台北、桃園、高雄の3ヶ所の国際空港を含む)があります。鉄道、道路の施設も整っていて、台湾島内を一周する鉄道と道路、西部の高速鉄道、高速道路、それらと連結する10数本の東西に走る快速道路があります。また台北、高雄のMRT(Mass Rapid Transit/地下鉄を含む大量高速輸送軌道システム)も加わり、綿密で便利な交通ネットワーク、日常生活圏を支える交通インフラとなっています。そしてビジネス、流通運輸などのコスト面でもスピーディーで効率的なインフラとなっています。その他、台湾の水、電力、通信などの使用料は安く、供給率と普及率はほぼ100%です。世界経済フォーラムが発表した2016年ネットワーク整備指数(Network Readiness Index、NRI)では、台湾は世界19位にランクインされました。インターネットの応用も非常に普及していて、特に政府サービスの電子化は世界トップレベルであり、進んだデジタル技術も外資企業の投資を誘い込む理由の一つとなっています。
中華民国の「憲法」には、「人民の権利と義務に関わる事 項は法律で明確に定める」と明記されています。整った法 治体系のもとで、友好的で、良好な民主主義と法治観念を 備えているため、企業の運営環境においても高い予測性と 安定性が期待できます。同時に商業法規も常に迅速に国際 法規に同調するよう調整されており、投資者の権益の保障 は確保されています。特に外国人が台湾で投資を行う場合 は、更に「外国人投資条例」によって、保障を受けることが できます。
台湾の知的財産法令は透明化されており、国際公約の基本 規範に適合するだけでなく、産業と国際特許法令の変化に 応じて検討と修正がなされています。特許・商標審査の機 能と品質の強化を続け、オンライン申請・検索システムを 最適化し、より高品質のサービスを企業に提供しています。
知的財産権を適切に保護するため、台湾は知財専門裁判所 と海賊版調査および取締りを行う知財保護警察を設立して おり、科学技術やインターネットの発展、営業秘密保護の観点から、法執行関係者の専門研修を強化しています。知 的財産権を保護するための全体的な環境を整備しているこ とから、グローバル企業と権利者団体から高い評価を得て います。
2010年、台湾と中国は「海峡両岸知的財産権保護協力協 定」を締結し、特許、商標、植物品種の優先権を相互に承 認し、作業チームを立ち上げまし、公式プラートフォームを 設置し、オペレーションシステム運用の確保と、中国で活躍 する台湾系企業・経営者の知的財産権を効率的に保護して います。
台湾は、国際間の知財交流と協力を積極的に展開し、各国 の在台機関、在台商工会議所および権利者団体と密接な関 係を維持し、各協会の進捗と建設的な意見を前向きに受け 入れ、友好的な環境を構築しています。企業の研究開発イ ノベーションを全力でサポートし、ビジネスチャンスと経済 発展を推進しています。
台湾の資金は潤沢で、為替相場が安定しており、金利水準 と資本コストが低く、良好な資金調達、融資環境です。海 外からの投資を誘致するために、台湾では関連措置を推進 し、海外企業の資金調達条件を緩和し、行政プロセスを簡 素化しています。
直接金融では、台湾における株式上場コストは香港、中国 より低く、株純資産倍率と株価収益率は比較的合理的で す。流通性も良好で、2017年10月現在、上場一部の海外企 業は67社、上場二部の海外企業は33社です。ベンチャー 企業向けの新市場「創櫃板」や株式投資開放を推進してお り、さまざまな資金調達のチャネルを構築しています。
間接金融では、歴年の高貯蓄率により潤沢な資金を蓄積し ており、低金利の優良な融資環境も構築しています。中小 型企業とイノベーション産業に融資サービスを提供する銀 行を表彰し、各規模の企業に融資サービスが行き渡るよう にしています。
台湾は旺盛なイノベーション能力、研究開発能力を有して います。ハイテクにおいても家電製品においても、古き良き ものを残しながら新しさを求めて発展させ、フランチャイズ
チェーン店の革新的なサービス、自転車、タピオカミルクテ ィー、華語ポップミュージックなども、すべて革新的な要素 を通じて、世界で受け入れられている台湾の特色ある商品 と文化です。
世界経済フォーラム(WEF)は、台湾をイノベーション主導型の経済国と位置付けています。2019年の世界経済フォーラムの国際競争力レポート」の12項目において、ドイツ、米国、スイス、台湾の4カ国が「スーパーイノベーター」(super innovators)であり、なかのスコアが他国よりもはるかに高いことを強調した。アメリカのグローバル起業家精神・開発研究所(GEDI)が発表したレポートでは、台湾は起業家精神ランキングが世界第4位でした。これは、台湾企業の実質的な研究開発投資や起業家精神がいずれも世界トップレベルにあることを示しており、台湾には長期にわたって競争力を持つ産業クラスター発展(WEF世界ランキング第3位)と、地域の特性を生かした多元的なイノベーション文化と良好な環境が存在することを示しています。このほか、台湾は工業技術研究院、情報工業策進会など10以上の技術研究開発機関を有しており、台湾国内の産業発展を推進するだけでなく、科学技術に関するイノベーション研究開発人材を多数育成しています。これらはすべて、外資企業がアジア太平洋市場、ひいては世界に進出する際の最大のパートナーとなるでしょう。