2023-05-16
蔡英文総統は15日、台北栄民総合医院重粒子線がん治療センターの開所式に出席した。蔡総統は、このセンターの開所によって、台湾における精密ながん放射線治療の最後のピースが埋まることになると歓迎した。蔡総統は、これからの政府の目標として、「各医療機関の力を結集し、より良い、より先端的な技術の発展に全力を傾け、台湾のために『精密な放射線治療のナショナルチーム』を作り上げる」ことを挙げ、それが国内のがん患者やその家族のケアにつながるほか、台湾医療の国際競争力を高めていくことになる述べた。
台北栄民総合医院に設置された重粒子線がん治療センターは、台湾で初めて、世界で14か所目の重粒子線治療施設となる。日本からシステム一式を輸入した。蔡総統は、開所式に日本からも関係者が参列していることを踏まえ、「これは台湾と日本の医療協力の重要なマイルストーンとなるもの」と述べた。そして、これまで重粒子線治療を希望する台湾の患者は、わざわざ日本まで行く必要があったが、このセンターの開所により、これからは国内にいながら同様の医療サービスを受けることができるほか、これからは海外のがん患者を台湾で受け入れることも可能となると述べた。
この重粒子線がん治療センターの建設には、45億台湾元(約198億日本円)が投じられた。2010年に建設計画が立ち上がり、2019年1月より着工。わずか15か月という短期間で、施設本体が完成。日本の技術チームとの連携プレーにより、重粒子線がん治療システムの海外輸出が最もスピーディーに実現したケースとなった。昨年6月30日に台湾初の臨床試験が行われ、現在までに12人の人体実験が行われた。PTCOG(粒子線治療国際会議)は昨年11月30日に、台北栄民総合医院重粒子線がん治療センターを、世界で14番目の稼働中の重粒子線センターであると正式に公告した。
現在のところ重粒子線治療は台湾の全民健康保険(=日本の国民健康保険に相当)の適用対象外となる。しかし、患者やその家族の負担を軽減するため、治療費は合理的な範囲内に抑えられるという。また、社会的責任を果たすため、台北栄民総合医院では毎年定員の2%を貧困層の患者のために残し、無料で治療を施すことを約束している。
Sources:Taiwan Today;2023年05月16日
資料來源: 総統府サイト